<詩>

辛夷と眼鏡と卒業証書
         川澄 敬子

白い辛夷の花が
山々を彩るころ
今年で廃校になる小学校の
卒業式に招かれた
緊張した面持ちで
壇上まで歩き
卒業証書を受け取る生徒たち
思い出があふれて
子どもたちの声が潤んだのは
在校生との掛けあいで
別れの言葉を述べ合ったときだった

わたしの母校も廃校になった
地域の子どもが少なくなり
統合がすすめられ
古い校舎は取り壊されて
更地になった
桜が咲き 辛夷が咲き
春の訪れを告げるけれど
子どもたちのはじけるような笑い声は
もう聞こえない

前をまっすぐ見つめている
あの眼鏡の子は
わたしではないだろうか
これから始まる中学生活に
期待と不安で胸をいっぱいにしているのは
がんばれ
ひとりじゃないよ 友だちがいるよ
心の中でそっと呼びかける